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ひでコラム NO.5 【リハビリテーションを考える④】

〜そういうものと思い込む〜

先日、訪問先のご自宅にレトロなパーテーション(間仕切り)が置いてありました。
「おしゃれな間仕切りですね〜」と話し掛けると奥様から…「この前、息子が遊びに来た時に『お父さんのプライバシーが全く守られていない。かわいそうだ!!』って怒られちゃったんですよ。」との事。

ご夫婦はマンションにお二人で住んでおられ、主な生活空間は、リビングとその隣の和室(リビングとはふすまで仕切られている)の2部屋です。
ご主人は片麻痺があり、和室にベッドを置き使用されています。リビングへの移動を行いやすくするため、ふすまは常に取り外した状態です。
そのため、ベッド(和室)からリビングへの移動は楽に行えますが、日中の排尿動作はベッド脇で尿器を使用して行うため、リビングからは丸見えでした。
そうなのです。リビングからは丸見えだったのです。

私が訪問を始めた当初から、既にこのような生活環境でした。
私は、こちらのご夫婦にはこの環境が当たり前で、これで良いのだと思い込んでいました。排泄動作や移動動作を、より介助量を少なく、より安全に行うためなのだと、それ以上の事は気に留めず…。
残念ながら、その時の私は、ご本人様の羞恥心についての考えがすっかり抜けていました……。

今回、息子様は、人としてのごく当たり前な視点で今の現状についてアドバイスをしてくれました。
いつの間にか私の視点は、ご本人様ではなく、安全性や介助量軽減などの、教科書的な視点になっていました(昔は、もっとご利用者様の気持ちに寄り添っていたはずなのに…)

ご本人様は「パーテーション、嬉しかった。妻にこれ以上迷惑を掛けたくなくて気持ちを言えなかった」とおっしゃっていました。

作業療法士を10年以上続けてきましたが、まだまだ、まだまだ、若造だなぁと反省しました。
『そういうものだ』と言う思い込みをいつの間にかしていた自分自身に、情け無い気持ちでいっぱいになりました。

本当に、ご利用者様やご家族様から学ぶことはたくさんあるなぁと思った今日このごろでした。
そして、もう一度初心に戻ろうと決意した日でもありました‼️

今回も最後まで読んで頂いたあなた、感謝、感謝です🙇🏻